全国の小・中・高校生から400万編近い応募があった、昨年の第65回「読書感想文全国コンクール」小学校中学年の部で、内閣総理大臣賞を受賞した石黒琉翔(いしぐろ・りゅうと)さん。
秋篠宮ご夫妻ご臨席で開かれた授賞式では、全受賞者を代表して喜びの言葉を述べました。

驚き感動したことを自分の文章で書く
「えっ。ハチを食べるなんてうそでしょ。」 感想文は、自分が感じた驚きを率直に自分の言葉で表現した文章で始まります。
課題図書『季節のごちそうハチごはん』(横塚眞己人写真・文/ほるぷ出版)は、岐阜県のある地方の郷土料理「ヘボの甘露煮」、ヘボ(クロスズメバチの子)を皆で力を合わせて捕りに行き、甘露煮にして食べる、それがたくさんの写真と分かりやすい文章で書かれています。
女の子がうれしそうにヘボを口に入れる大きな写真。
石黒さんは夢中になり、繰り返し30回は読んだそうです。
村の人たちの共同作業や、伝統の食事を大事にしていることを知り、面白いと思ったこと、感動したこと、意外だと思ったことなどを付箋に書いて、本のページに貼っていく…。

全体を「はじめ」「なか」「おわり」の3部に分けて考えるなど、学校で習った感想文をまとめるポイントも付箋に書き出して、ノートに貼った石黒さん。
小学校中学年の感想文は1200字前後と決められているので、それを念頭に構成を考えて書いたそうです。
読書が好きな子はうまい文章も書ける
1日1冊は読むという読書家で、特にシャーロック・ホームズなどの推理小説や冒険小説が好きとのこと。
「幼稚園の頃から本に夢中で、『やることをやってから読みなさい』と、よく言っていました。今もですが」と、母の詠子さんは笑います。

「自分で食べた感想も読書感想文に加えたい」と、詠子さんとスーパーに買いに行きましたが、売っていなかったそうです。
後日、手に入ったハチの缶詰を食べて、「よく見ないで口に入れたけど、ご飯に合っておいしかった」と振り返ります。
授賞式では「僕の世界を広げてくれた新しい本との出合いに『ありがとう』という思いと、大きな賞までいただけて感謝の気持ちでいっぱい」と話し、大きな拍手に包まれました。
今回、石黒さんを取材したのは、毎年夏休みに埼玉や千葉で「読書感想文の書き方教室」を開いている、フリー編集者の小檜山範男さん(越谷市在住)。
小檜山さんは「琉翔さんは、頭の中で何についてどう書いていくか、自分の言葉でどう表現するかが分かっている。
これができるのは普段から本をよく読んでいるからです。
そして、子どもと一緒に読み、行動して、手助けをするお母さんにも感心。いい感想文が書けたのもうなずけます」と話しています。
石黒さんの読書感想文は、「読書感想文全国コンクール」公式サイトで全文閲覧可能です。