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2013年から2018年までコミック誌に連載された「高尾の天狗と脱・ハイヒール」(竹書房、全4巻)はお気楽で前向きなOL・ノリコが失恋をきっかけに高尾山登山に目覚めていくストーリー。
作者の氷堂(ひどう)リョージさんに“高尾山愛”と制作秘話などを聞きました。

~「高尾の天狗と脱・ハイヒール」あらすじ~
彼氏にふられ、ヤケを起こして高尾山に登ったお気楽OLノリコが、天狗の子・聖(ヒジリ)に懐かれたことで、高尾山にはまっていくという話。グルメ、登山グッズ、高尾山の四季のイベントネタなども盛り込まれている。

高尾山に登ってみたら
─連載開始をきっかけに子どもの頃以来、久しぶりに高尾山に登ったそうですが、どの登山コース、季節が好きですか?
作品にも登場する稲荷山コースです。
距離は1号路に比べると長いですが、草の生えた土の道が好きです。
季節は初夏。高尾山はたくさんの昆虫がいますが、その中でも刺す虫が少ない時期なので。
ただ私、ガやチョウは好きなんですよ。
主人公のノリコは虫がまったくダメですけれど。

─テーマ探しはどのように?
高尾山に月1回くらい登って見つけています。
最近は城山方面から登り、高尾山からケーブルカーで降りてくることもあります。
ノリコも力説していますが(笑)高尾山は電車1本で行けるので、すごく便利です。思い立ったら行ける、身近な感じがいいですね。

─連載を始めて何か変わりましたか?
高尾山で読者さんに声を掛けられるようになりました。
取材等で顔が知られるようになったみたいで、嬉しいですね。
もちろん、足腰も丈夫になりました。

主人公ノリコと新連載
─主人公ノリコのキャラクターについて教えてください
32歳で3年付き合った彼氏にふられ、ヤケを起こして突然高尾山に行くようなタイプです。
でもそんな、自然に縁のなかった彼女が高尾山という別世界に行って、ちょっとずつなじんでいく姿を描きたかったのです。
どちらかといえば、自分でいろいろ発見するタイプじゃないので、じゃあ案内役として天狗の子ども(ヒジリ)を登場させようということになりました。
漫画の中では、ヒジリたち天狗の存在も重要で、その姿は見える人、見えない人がいるという設定です。
その理由は・・・読めばわかります。
─現在、連載中の作品にもヒジリが登場するとか?
はい。
「高尾の天狗とミドリの平日」という作品です(「月刊まんがくらぶ」連載中)。
ノリコと正反対で、自分探しの真っ最中の駆け出しデザイナー・ミドリが主人公です。
器用貧乏、断れないタイプ・・・という日本人なら共感してしまうような性格ですが、ヒジリがうまくリードしていくと思います。
ネタの宝庫、高尾山
─高尾山の魅力はどんなところですか?
同じ道でも行くたびに違う発見があることですね。
周囲の環境や施設、登山道の整備を含め、高尾山をとりまく環境はこれからも変わっていきそうですし、その経過を作品におさめられたらなと思います。
まだまだ、ネタは尽きないですね
登山中、時にヒヤっとする場面に出合っても「ネタになるかも」と笑う氷堂さんに漫画家魂を感じました。
豆まきや火渡り、ビアマウントに温泉。季節のイベントや人気スポットに自ら足を運んで描いた漫画は、地元民にとってはあるあるの宝庫。
高尾山?「知ってる、知ってる」という人こそ、読めばきっと盛り上がるはずです。

