経済的な理由で塾に通えない中学生、高校生の学習を支援するため、ボランティア講師が無料で教えるNPO法人「八王子つばめ塾」が市内で活動しています。
設立者で八王子出身の小宮位之さん(41)にお話を伺いました。

「自分も経済的に困窮する家庭で育ち、奨学金と親戚からの援助で何とか高校大学を卒業しました」と話す小宮さん。
教員を目指すも就職氷河期で希望がかなわず、映像制作の仕事をしていた時に、アフリカの紛争地域を取材。
戦闘に利用された元少年兵を目の当たりにしたことをきっかけに、未来を担う子どもたちを支援する活動をしたいと考え、2012年、かつての自分と同じように経済的に困っている中高生に無料で勉強を教える活動を始めました。

大学進学を目指す高校生も対象ですが、最も力を入れるのは高校受験です。
「例えば、ひとり親家庭で経済的に困っている家庭では、お金の掛からない都立高校に入れるかどうかが切実な問題ですが、塾に通わせる余裕はありません。現代では就職するにも高卒資格は必須ですから、進学を諦めることのないように支援しています」。
「八王子つばめ塾」から広がる無料塾の活動
ボランティア講師70人のもと、昨年度は中学生35人、高校生9人が進学を決めて卒業。
「つばめ塾」の名称は、善意で支えられた子どもたちが、ボランティアという巣に戻ってきてほしいという気持ちを込めて命名したもので、実際に卒業生5人が講師として戻ってきてくれたそうです。
小宮さんは「必要とするすべての子どもに支援を届けることが目標」として、講演会や大学での講義を通じ、学習支援を紹介する活動にも積極的に取り組んでいます。
現在、小宮さんが代表を務める姉妹団体は市外に4つ。講演を聞いた人や、塾を見学した人が始めた団体も年々増えており、活動の輪は着実に広がっています。